日下公人(くさかきみんど)氏のコラムにコミュニケーションの面白い事例がでていたので、それについて一言。外務省の元大使と南米の方とのやり取りだそうです。

少し引用してみます。






以前、外務省の大使を務めていた人に聞いた話だが、日本が国連の常任理事国入りをねらっているとき、外務省は票を獲得するために、アフリカなど国の数が多くて貧乏な地域にODAを配りまくった。

 そして採決のとき、「たぶん味方に付いてくれるだろう」と思っていたら、全然ダメだった。それらの国々は中国へ票を入れてしまった。南米諸国もそうだった。日本がたくさんばらまいた金は、全部ムダになった。

 それで、南米諸国へ行って「あなた方はなぜ日本の国連常任理事国入りに賛成してくれなかったんだ」と聞いた。すると向こうは堂々と答えた。

 「確かに日本国から援助は受けた。何十年にもわたってたくさんもらった。それは感謝している。ただ日本は、その理由として、貧乏で気の毒だから、金持ちになるための元手を貸してあげますといった。私たちはそれを有効に活用して、だいぶ豊かになりました。さぞや日本は喜んでいるでしょう、それでいいじゃありませんか」と。

 中国がやってきたときには、「国連での一票を買いたい」と言ったという。「だから私たちはお金がほしいから売った。どこが悪いんだ」と南米諸国は答えた。

 「主権国が、主権の発動として国連で一票を投ずるのは当然その国の勝手で、日本からとやかく言われる覚えはまったくない。悔しいのなら日本の外務省も、以前から『国連の一票を買う』と言ってくれればよかったのだ。そうしたら、私たちはそのときに、援助を受けるか受けないかを決心したんだ」‥‥。

 「これはまことにもっともである」とその大使は言っていた。僕もそう思う。だから、これから始まる日本のODAは、そういうところから議論をしていかなければいけない。

全文
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/p/33/index.html




大使まで務めておきながらよくもシャーシャーと

「これはまことにもっともである」

などと言えたものだと思います。この場面は

「よくもそんな恥知らずなことが言えるものだ。あなたは完全に間違っている。」

とでも言って多少は動揺させておくべきところでしょう。

「これは金の問題ではなくて、日本の常任理事国入りに賛成か反対かの問題だ。日本に理事国になって欲しくないのならその理由を聞いておきたい。」

「貧困にあえいでいる人たちに長年協力してきた日本にこそ、その資格があると思わないのか。その資格がないというのならその理由を聞いておきたい。」

「そもそも安保理は合法的に多人数を殺傷する、その決定をくだせる機関だ。その常任理事国を金のやり取り程度で決めてよいのか。私はそうは思わない。間違っていると思うのならその理由を聞きたい。」


もし相手が

「これは純粋に金の問題で日本の安保理入り自体には賛成している。」

などといい加減なことを言ってくるようなら、

「あなたの言うとおり金の問題であったのなら、買収金額は高ければ高いほど良かったはずだ。日本と中国を両てんびんにかけて一票の値段を吊り上げるのが筋だろう。なぜそうしなかったのか?つじつまが合わないではないか。」

そして少なくとも相手側に、

「あなたの言うことの方が正しいが、これは自分の決定ではなく上が決めたことなので自分にはどうしようもなかった。」

とかその程度のことは言わせなければならなかった思います。それをあろうことか相手方のつまらぬ言い分に、

「まことにもっともである」

と納得して帰ってくるようでは情けないですし、にわかには信じがたい面もあります。初めて海外に出た人ならいざ知らず、日本国のアンバサダー経験者ですからね。

この元大使と日下氏はこれを日本的な「曖昧さ」の問題としてとらえ、今後のための改善点をアドバイスされています。ぼくの方はこれを、どんな国が理事国にふさわしいのか「資格」の問題としてととらえ、相手にもっと詰め寄り、日本こそふさわしいと認めさせるべきだったと考えてみました。

もう一言付け加えるなら、相手に問題を定義させてしまってはダメです(このケースでは援助目的の曖昧さが敗因、したがって日本政府の責任)。相手の定義を受け入れず、自分の不利にならないようにもう一度、問題を定義しなおす方がいいです。できればそうしていることを相手に気づかれないように。

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soudenjapan、45歳、コンサルタント。やっと英語が楽になり20年かかって英語を握ったと感じる。と思ったのもつかの間、そこには広大な未知の領域が残っているようだ。

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