前出の日高義樹氏によると、アメリカ人の特徴は、彼らが「システム信者」である点に見出され、それこそが他国にはないアメリカの特徴であるとされています。この点を中国、インド、日本と比較しながら考えてみようと思います。



日高義樹 「日本は『2番』でいい!」 1988年より




システムに対する考え方の相違

 アメリカの人々は、システムを大変重んずる。仕事がうまくいかないと、「それではシステムを変えよう」という。たとえば、ある訴訟事件で、うまくいかなくて行き詰まってくると、「システムを変えてみよう」といって、弁護士から訴訟のやり方まですべて変えてしまうのである。

これを軍事的に見ると、たとえばアメリカ軍は、これまでF86から始まってF100、F104、F4、F15と各種のジェット戦闘機を製作し、第一線に配備してきたが、これらの新しい戦闘機をつくるたびに、あらゆるシステムをまったく一からやり直して、新しいものをつくってきた。

 つまりF4ジェット戦闘機からF15をつくる場合に、部分的改造ではなくて、レーダーコントロールの仕方からエンジンの仕組み、居住性など、あらゆる問題を一から考え直して、すべてを新しいものに取りかえてきたのである。

 いうまでもなく、これには大変な経費がかかる。実にむだの多いやり方である。

 だが、この仕組みを全部変えてしまう、システムを変えてしまうということこそ、アメリカ的なやり方なのである。仕組みの一部、システムの一部を変えるというのは、アメリカ人の思考様式の中では大変難しい。


<引用終わり>




もちろんこれは極端に単純化されたアメリカ人論で、この特徴に当てはまらケースも多々あるのでしょうけれども、直感的には確かにアメリカ的だなとは感じますね。

それはおそらく、世の中の森羅万象を「システム」としてとらえることを得意とする人たちが、政治、経済、学術などどの分野でも中枢を占める地位にまで上りつめるからなのでしょう。

日高氏の指摘した点には、作家の司馬遼太郎氏も、生涯ただ一度のアメリカ取材旅行のさいに、アメリカの特徴として着目し、「凄味」と表現しています。

司馬遼太郎 「アメリカ素描」 1984年より。




フィラデルフィア・資本の論理

アメリカにきておどろいたことのひとつは、機能を失った都市を、平然と廃品同然にしていることだった。

フィラデルフィア市を見てそうおもった。


<中略>

(都市の使いすてというのが、あるのか)

とおもうほどのショックをうけたのは、ワシントンからニューヨークにもどる途中、列車の窓からフィラデルフィアの鉄鋼製構造物の巨大な廃墟群をみたときだった。

ぬしをうしなった造船所や人気のない造機工場、あるいは鉄道車輌工場といった、十九世紀末から二十世紀の半ばまでの花形産業が、精一杯、第二次大戦まで生きながらえはしたものの、いまは河畔にながながと残骸の列をさらしている。

国土のせまい日本ならば、せめて鉄柱や鉄梁ぐらいは片づけて、地面をきれいにしておくとか、他に土地利用を考えたりするだろうが、ここでは雨ざらしにされたままである。

そういう、いわば豪儀なことができるほど国土がひろいということもあるだろう。しかし資本というものの性格のきつさが、日本とくらべものにならないということもある。この社会では資本はその論理でのみ考え、うごき、他の感情をもたない。労働者も労働を商品としてのみ考え、その論理で動く。論理が、捨てたのである。凄味がある。

(せめて、オモチャ工場でもつくったらどうだ)

と、車窓でおもったりした。しかしアメリカの巨大資本はそんな小規模な物作りをする帳簿などもっていないのに相違ない。オモチャなどはホンコンや台湾から買うほうが安あがりでもある。だから捨ててしまう。

(アメリカには鉄屑屋がいないのか)

と、けちな料簡でおもった。むろんそんな稼業は採算がとれないのにちがいない。


<引用終わり>




最近の例では、ハリケーン・カトリーナによりニューオーリンズが壊滅的な被害を受けたとき、街ごと捨ててしまおうかという話があったことは記憶に新しいですね。

今、中国やインドでは、いずれ自分たちが超大国としてアメリカを置き換えることになるのではないかと、無用な「心配」をしている人たちがいるのですが、ぼくはそれはないと思っています。

彼らの言っていることは、アメリカや世界のシステムが未来永劫変わることなく現在のままであると前提して、その上で数十年後には自分たちもそこに到達し、アメリカを抜き去るだろうと単純計算をしているわけです。

しかし実際には彼らが追いつくころには、アメリカはすでにそこにはおらず、システムを変えてどこか別のところに行ってしまっているはずです。

つづく

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soudenjapan、45歳、コンサルタント。やっと英語が楽になり20年かかって英語を握ったと感じる。と思ったのもつかの間、そこには広大な未知の領域が残っているようだ。

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