前回はあの訓練方法を通じて、言わば英語を運用するときの思考を(日本語上で)一部疑似体験していただいたわけです。

今回はもう少し範囲を広げてさらに擬似経験していただこうと思います。できれば、あの訓練がなぜ必要なのか、なぜ日常の中に取り入れておくべきなのか、すっきりと系統立てて理論的に説明したいのですが、残念ながら今はそうできません。そこで、体験的、直感的な説明をもう少し続けてみようということです。もちろん、

一体何のためにこの訓練をやるのか?
なぜ日本語で訓練するのか?
なぜこの方法でなければならないのか?
やるとやらないでは何がどう変わるのか?

などなど当然いろんな疑問が出てくるでしょうが、英語的思考パターン、思考順序に似ているからとか、英語を運用するときの意識の集中のさせ方に慣れておくためとか、ぼく自身いまだにあやふやな答えしか持っていません。ですからこれを読んでおられる方には、この訓練の効果についてある程度盲目的に信用してもらわなければなりません。




(1)自分に質問して自分で答える。

前回と同じようにこんな質問からはじめます。

下水道とは何ですか?

通常、こんな答えになるのではないでしょうか。

「家庭や事業所から排出される汚水を回収するために土管を地中に埋めて・・・、というようなものが下水道です。」

日本語だと、一番肝心(少なくとも英語上では)と思われる単語にたどり着くまでにある程度前置きがあり、徐々にメッセージの範囲が狭められながら意味内容が特定されていくので、最後の決定的な単語を言わなくても相手方になんとなくメッセージが伝わります。いわゆる「察し」がききやすい構造になっています。ですから上の例のように一番肝心な単語を「もの」という極めてあいまいな単語で済ますことができます。極端なケースでは「あれ」で済まされる場合すらあります。

もちろん日本語としてはそれで問題ないのですが、英語ではそうは行きません。「もの」にあたる単語を真っ先に示してやらなければならないからです。

下水道はものです。

という言い方をしてもあまり意味をなしません。「もの」の代わりに、「下水道」をどう分類するのか、どのカテゴリーに入れてしまうのか、それを示すに最も適切な単語を選んでやる必要があります。そしてその選択過程(とその思考)こそが、ここでいう英語運用の疑似体験です。英語でメッセージを伝えるときには、そこを真っ先に考えなければならないので、日本語上での疑似体験を通じて慣れておく必要があります。ここが肝です。

下水道とは何ですか?

それはインフラです。
それは通路(汚水の)です。
それはネットワーク・システム(汚水回収の)です。
それは方法(リサイクルの)です。
それは一つの手段(衛生向上の)です。


できるだけすばやく分類(=適切と思われる単語の選択)できるよう日頃から訓練しておかないと、なかなかとっさに対応できるようになりません。

「茶道」とは何ですか?
「柳生新陰流」とは何ですか?
「かもい」「すじかい」とは何ですか?
「影響力」とは何ですか?
「戦略」とは何ですか?

要するにすばやく分類できればいいわけです。「教え」ですとか「部品(建築の)」ですなどと、どのカテゴリーに収まるのかを考えるだけです。




(2)日常見かける文章に注意しておく。

新聞でも本でもネット上の文章でもかまいませんが、ここでは検索で引っ張ってきた一文を紹介しましょう。

下水道とは?

 下水道は、快適な生活環境の確保と公共用水域の水質の保全を図るため基本な施設であり、生活排水や産業活動等により生じた汚水を受け入れ、処理した後再び公共用水域へ戻すという水循環システムを健全に保つための重要な構成要素として位置づけられています。

(香川県下水道公社のサイトより引用)

大切な単語を赤でハイライトしておきました。ポイントは2つあります。

まず、我々の日常性においては、これらの単語に特に注目が集まるわけではないという点。第2に、英語世界の日常においては、これらの単語こそが真っ先に思い浮かべられているという点です。(この2つの要因が相まって、我々にとって英語でのコミュニケーションが必要以上に難しくなっているのだと思います。)

普段から、これらの単語を真っ先に思い浮かべる習慣があればよいのですが、日本語の構造上それは無理でしょう。「確保」を「快適な生活環境の」の前に思い浮かべたり、「保全」を「水質の」より先に思いつくことは誰にとってもやさしくはないはずです。これだけでも容易でないのに、実はさらに先に思い浮かべなければならない単語があります。それが「施設」です。

赤くハイライトされた単語をつなぎ合わせれば、

「下水道は『施設』であり、それは『確保(生活環境の)』と『保全(水質の)』を目的としており、(重要な)『構成要素』である。」

となるわけです。「下水道」を説明するときに、これらの単語を先に思いつくならば、その思考はとりもなおさず日本語上での擬似英語体験となります。

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soudenjapan、45歳、コンサルタント。やっと英語が楽になり20年かかって英語を握ったと感じる。と思ったのもつかの間、そこには広大な未知の領域が残っているようだ。

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