イラク情勢について、現状が大変厳しいということは報道を通じて誰でも知っていると思います。スンニ派とシーア派の宗派間対立が激化しているとか、自爆攻撃で何十名のイラク人が犠牲なったとか、イラクは悪い出来事で満ち溢れているようです。

その一方で、ブッシュ政権により新戦略が施行されて以来、よい知らせも時々聞けるようになってきました。

UPIで国防担当の特派員をしているパメラ・ヘス記者(Pamela Hess)は、以前からマイクロ・レベルにおいては、イラクの治安状況はすべてが悪化しつつあるわけではなく、改善している点もあると指摘していました。例えば、

1.占領が長期化するにつれ、米兵とイラク住民たちとが顔見知りになり始め、心が通い合うようになりつつあること。

2.アルカイダや反米勢力があまりにも残虐なので、各地の部族長が米軍に助けを求め、その代わり米軍に協力するかたちでイラク警察、軍、行政に人を提供するようになったこと。

3.米兵たちのモチベーションが高いこと。日々発生する残虐行為の中で、安全を確保できないイラク人住民たちを、国際情勢とかは関係なく人として何とか守りたいとの使命感に燃えている米兵が多い。



などを指摘していました。

今月に入ってからは、彼女の報道を裏付けるようなコラム記事も見かけるようになりました。下の二つの記事が本当に正確であれば、増派案を推奨してきた元陸軍士官学校教授、フレデリック・ケーガン氏の予測どおりでまさに面目躍如ということになります。

ニューヨーク・ポスト紙
イラクへの増派:うまくいっている理由(THE IRAQ SURGE: WHY IT'S WORKING ...)
By Gordon Cucullu March 20, 2007

ワシントン・ポスト紙
増派戦略は成功しつつある(The 'Surge' Is Succeeding)
By ロバート・ケーガン(Robert Kagan) Sunday, March 11, 2007


ニューヨーク・ポスト紙の記事の内容

ペトレイアス司令官とのインタビュー記事です。要点だけまとめておきます。

1.ラマディの市長と警察署長とともにアイスクリームを食べながら町を歩いてみたが、誰も撃ってこなかった。それだけのことだが、ほんの数ヶ月前では考えられなかった治安状況だ。

2.掃討作戦後に米軍が退かず駐留し続けることが分かると、住民の態度が変わった。以前は情報を集めようとしても集まらなかったが、今では住民たちから情報が寄せられ情報過多である。

3.アンバー県においては、族長たちはみなビジネスマンなのだが、アルカイダのせいで商売は上がったりでうんざりしていた。今では大きなインフラ整備プロジェクトが再開されている。アルカイダは暴力と苦しみしかもたらさなかった。今では族長たちは若者に警察や軍に加わるように呼びかけている。

4.サドル・シティーでも同じ手法で大きな変化がおきつつある。

5.市場とモスクのような人の集まる場所を重点的に護衛するようになってから、商売が再開され、需要も雇用も拡大し地方経済がよくなりつつある。それにつれて私兵団の求心力が縮小しつつある。

6.よいスタートを切った。夏の終わりごろまでには情勢がはっきりするはず。



ワシントンポスト紙の記事の内容

こちらも基本的には同じ内容で、イラク在住の著名なブロガーや、NBCの看板キャスター、ブライアン・ウィリアムス氏によるイラクからのレポートが引用されています。両者ともにペトレイアス司令官と同じような観察をしており、増派戦略の治安への効果を伝えています。

それに加えて、政治レベルで潮流が変わったことが指摘されています。今まで合意できなかった石油収入の分配方法が合意に近いことや、一枚岩だったシーア派勢力に分裂の兆しが見えるなどの事例が紹介されています。

いまだにアルカイダから攻撃は続いてはいるものの、バグダットを狙いにくくなり、地方の狙いやすいターゲットが攻撃されており、これはアルカイダの弱体化の兆しだろうと指摘されています。

また、サドル師が率いるマハディ軍についても、しばらくの間おとなしくしているだけも知れないが、一旦治安が回復してしまうと市民たちは再度の混乱を望まなくなり、あんいに活動再開というわけにはいかなくなるだろうと指摘されています。

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soudenjapan、45歳、コンサルタント。やっと英語が楽になり20年かかって英語を握ったと感じる。と思ったのもつかの間、そこには広大な未知の領域が残っているようだ。

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