自動車部品メーカーに勤める佐藤さんは長年コツコツと英語を勉強してきたおかげで、徐々に英語ができるようになり、今では最低限の会話には困らないまでになった。

"Our product is compact and light. It's really great. We are proud of it. What do you think of our new product?"

商談に訪れた海外からの顧客からも、キミの英語はわかりやすいと褒められたことも一度や二度ではない。

ところが、最低限の会話はこなせるようになったものの、なかなかそれ以上にはならないという悩みもかかえている。話題の参考書にも目をとおしてみたり、単語や熟語をおぼえたりと今でもかかさず英語の勉強は続けている。にもかかわらず最近では、以前感じていていた進歩をまったく感じないし、実際、何の変化もなく伸び悩んでいるとしか思えない。最低限の英会話はクリアできるのだが、そのレベルから抜け出せそうにないばかりか、その糸口さえ見つかりそうにない。

それならばと奮起して英語で日記をつけてはみたが、やはり箇条書きみたいな短文しか思いつかない。しかもいつも同じようなパターンのくりかえし。内容もつまらないほど単純でもう一つ何か足りない。英語らしさというか、それらしさがまったくない。

英語なんかしょせんは道具にすぎないのだから、通じさえすればそれで十分じゃないか。ぜんぜんできなかった昔に比べれば、かなりできるようになったうちだ。上を見ればきりがない。

そう思う一方で、自分の英会話のぎこちなさだけはヒシヒシと感じている。できるようになったとはいえ単純な内容をあつかうのが精一杯で、込み入った話となると逃げ出したくなってくる。やはりできればもう少しうまくなれたらとは思うし、もう少し気の利いたこともいえるようになりたいとも思う。もう少し複雑な説明もできるようになりたいし、もっとかっこいい、雰囲気のある英語を使えるようになりたい。

しかしいざそうしようとチャレンジしてみると頭の中は真っ白になり、口をついて出てくるのはいつもの短めの文。いつもの単語に、いつものパターンで精一杯。余裕はない。いったい何をどうしたらいいのか見当すらつかない。

日々の忙しさにかまけ、英語については、あきらめ半分、望み半分ですごしていた佐藤さんに転機がおとずれたのは帰宅途中の電車の中だった。英語の練習のためにいつも読んでいる雑誌のページをめくっていると、ふだんは気にもとめないような何の変哲もないセンテンスで目がとまった。

It is compact in size, light in weight.

その瞬間、美しいと感じた。かっこいい表現だと感じた。たった一言 in size と in weight を付け加えるだけでこんなにも印象が変わるものなのか。なんと知的で分析的な表現か。

It is compact and light.

今までそういうのが精一杯だったが、もう一言だけ付け加えればいいのではないか。あと一言くらいなら自分にも何とかできはしまいか。あと一言だけなら。なにかひらめいたような気がした。



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soudenjapan、45歳、コンサルタント。やっと英語が楽になり20年かかって英語を握ったと感じる。と思ったのもつかの間、そこには広大な未知の領域が残っているようだ。

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